SNS動画に音を1本足したいだけなのに、フリー素材サイトを行ったり来たりして30分溶かす。ようやく見つけても、他社の動画と同じ曲だったり、商用の可否が読み取れなかったり。外注すれば数日待ちで費用もかさむ。この「BGM探し」を、テキストで曲想を書くだけの作業に置き換えられるようになった。
SunoとGoogleのLyria 3。どちらもテキストから曲を作る。映像を内製する話は先日Seedanceで書いた。今日はその「音」版だ。SNS運用やLP制作にそのまま足せる。
フリー素材探しを、テキスト入力に置き換える

やることは変わらない。「明るい夏/飲食店の店頭POP向け/30秒/ボーカルなし」のように、どんな場面で流したい曲かを言葉で書く。あとは生成すると、数十秒から1分ほどで曲が返ってくる。気に入らなければ書き直して回す。素材サイトを横断して「近いもの」を妥協して選ぶのではなく、動画の尺と雰囲気に合わせて曲のほうを作る。この順序が逆になる。
ククルデザインではSNS運用とLP制作を請けるとき、BGMは長らく外部の悩みどころだった。使い回しの素材は雰囲気が甘く、外注は納期が読めない。テキストで当たりを取れるなら、提案の場でその場でラフを鳴らせる。ここが実務で効く。
Suno——曲想を書けば数十秒で曲になる
Sunoは、シンプルモードに先ほどのような一文を書くだけで曲を作る。出力はMP3のほか、ジャケット画像つきの動画としても書き出せる。無料でも試せるが、商用利用は有料プランが前提になる。
- Pro:月約10ドル(約1,500円)
- Premier:月約30ドル(約4,500円)——生成量が増える上位プラン
権利まわりは正確に押さえておきたい。Sunoの利用規約は、Pro・Premierの有料プランで生成した出力について、Sunoが持つ権利・権原・利益(right, title and interest)を利用者に譲渡すると定めている。ただし同じ規約に、機械学習の性質上、その出力に著作権が発生することは保証しないとも書いてある。「Sunoが握っている権利は渡すが、そもそも著作権が生まれるかは別問題」という二段構えだ。納品物として渡すなら、この線引きを先に理解しておく。
Google Lyria 3——Gemini API経由で1曲ごとに生成

GoogleはGemini API経由で音楽生成モデルLyria 3を提供している。用途で2種類に分かれる。
- Lyria 3 Clip——30秒固定・MP3出力。1曲0.04ドル。短いクリップやループ、動画の下敷きに敷くBGM向き
- Lyria 3 Pro——数分の尺・MP3/WAV出力。1曲0.08ドル。歌詞やボーカルを含むフル曲向き
いずれも44.1kHzのステレオ音質で、テキストのほか画像も入力でき、ボーカルつき・インストのどちらも作れる。無料枠はなく、生成した曲ぶんだけ課金される。ただしGemini API経由なので、今すぐ画面で触って試すならSunoのほうが入り口として早い。Lyria 3は開発・組み込み寄りの選択肢だ。
使い分けの目安と、明日試す第一歩

ざっくり言えば、Sunoは月額サブスクで一文から完成曲を早く出す。Lyria 3はAPIで1曲ごとに課金し、Clipは30秒、Proは数分と尺で選ぶ。用途が違うので、片方だけ決め打ちするより両方触って手に馴染むほうを残すのが早い。
- 作りたい曲を1つ決める(例:店舗紹介動画1本ぶんのBGM、30秒・ボーカルなし)
- SunoとLyria 3に同じ曲想を投げて数本ずつ作る(どちらも有料。Sunoは月額、Lyria 3はAPIで1曲ごと)
- 権利条件・尺・雰囲気の3点で採否を判定する
- いま素材サイトや外注に払っているコストと並べて、置き換わるか見積もる
1曲作るだけなら30分で当たりが取れる。合わなければSunoは1か月で解約すればいいし、Lyria 3は使った曲ぶんしか払わない。判断材料が手元にできる。
内製する前に決める2つのこと
便利さの裏で、外してはいけない前提が2つある。
- 既存の曲・歌詞・アーティスト名を模倣する指示を出さない。「◯◯風」で特定アーティストを狙うと権利トラブルの火種になる。雰囲気は場面の言葉で書く
- 生成物の権利条件は、使う直前にそのサービスの規約で確認する。料金も権利の扱いも改定されうる。この記事の料金・条件は2026年8月時点で、Sunoの月額もLyria 3の1曲あたり単価も、納品に使う前に必ず最新を当たる
ククルデザインでは、SNS動画やLPを作るときにBGMまで含めて内製し、権利まわりの確認を挟んだ上でお渡しする流れを組んでいる。「動画は作れたが音で詰まっている」なら、まず1曲だけ一緒に作って当たりを取るところから相談してほしい。



