「AIを使ってみたいが、うちの会社の何に使えるのか分からない」。群馬県内の経営者の方と話していると、この一言をよく聞きます。答えの多くは、営業や製造の花形業務ではなく、地味な事務作業のなかにあります。この記事では、生成AIで手を離せる作業を5つ挙げ、従業員20名の会社が最初の一歩をどう踏み出すかまで具体的に書きます。読み終えたとき、月曜からどの作業を試すか決まっているはずです。
なぜ営業ではなくバックオフィスから始めるのか
バックオフィスとは、経理・人事・総務といった社内向けの事務のこと。ここから始める理由は単純で、失敗しても社外に迷惑がかからないからです。
営業資料やお客様への回答をいきなりAIに任せると、間違いがそのまま取引先に届きます。一方、社内の議事録や下書きなら、公開前に人が目を通せる。やり直しがきく場所で慣れるほうが、結局は速い。
もうひとつ、始めやすさの面でも社内業務は向いています。バックオフィスの作業は毎月ほぼ同じ形で繰り返されるため、効果が数字で見えやすい。「先月まで3時間かかっていた作業が1時間になった」と言えれば、次の投資判断もしやすくなります。
行政の後押しも整ってきました。東京商工会議所は中小企業向けに生成AI活用入門ガイドを無料で公開しています。まずは社内の、ミスが表に出ない作業から。これが遠回りに見えて近道です。
生成AIで減らせる5つの作業

どれも「ゼロから人がやる」を「AIの下書きを人が直す」に置き換えるだけで効きます。
- 会議の議事録: 録音を文字起こしし、決定事項とタスクに整理。1時間の会議で30分かかっていた清書が数分に縮む。
- メール・報告書の下書き: 箇条書きのメモを渡すと、体裁の整った文面に。白紙から書き出す負担が消える。
- 問い合わせ・FAQ対応: よくある質問への回答文をAIに用意させ、担当者は確認と送信だけ。
- 請求書・経費の入力補助: 書類の内容を読み取り、必要な項目を抜き出す。転記ミスが減る。
- 社内文書の要約: 長い規程やマニュアルから、知りたい部分だけを数行に。
いきなり全自動にしなくていい。「下書きはAI、最終確認は人」の分担で十分です。
使うツールも、まずは手元にあるもので構いません。文章の下書きや要約はChatGPTやClaude、Geminiといった対話型AI、会議の文字起こしは専用の文字起こしサービスやNotebookLMのような要約ツールが向いています。請求書や経費の読み取りは、会計ソフトにAI機能が付いていることも多いので、いま契約中のサービスの機能を一度見直してみてください。新しく高価なツールを入れる前に、手持ちの範囲で試せる作業は意外と多い。
例えば従業員20名の製造業なら
具体的に想像してみます。毎週の生産会議で、議事録を総務担当が1時間かけて清書していたとします。
録音をAIに文字起こしさせ、決定事項と担当者を箇条書きに整えるところまで任せる。担当者の仕事は「AIの下書きを読んで直す」15分程度になります。週1回なら月に約3時間、年間で30時間以上が別の仕事に回せる計算です。
同じ会社で、見積書送付の案内メールを営業事務が毎回ゼロから書いていたとします。過去の文面をいくつかAIに読ませ、「この条件で丁寧な案内文を」と頼めば、下書きは数十秒で出てきます。担当者は宛名と金額を直すだけ。1通あたり10分が2分になれば、日に何通も送る現場では大きい。
派手さはありません。ただ、人手が足りない現場ほどこの手の積み重ねが効きます。筆者は、一人が毎週くり返している作業から探すのが当たりやすいと考えています。
始める前に決めておく3つのこと

便利さの裏でつまずきやすい点もあります。始める前に、次の3つを決めておくと事故を防げます。
- 入力してよい情報の線引き: 顧客の個人情報や未公開の経営数字を、無料版のAIに貼らない。法人向けプランや、入力内容が学習に使われない設定を選ぶ。
- 出力は必ず人が確認: 生成AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)を混ぜることがある。数字や固有名詞は裏を取る。
- 使ってよい範囲を紙1枚で共有: 「この業務はOK、これはNG」を全員が見える形に。ルールがないと、良かれと思った利用が事故になります。
小さく始めて、効いたら広げる
最初から全部署に入れようとすると、たいてい頓挫します。
まず1つの作業を、1人の担当者で2週間試す。時間がどれだけ減ったかを記録し、効果が見えたら隣の作業へ。この順番なら、社内の「AIってよく分からない」という空気も、実績で少しずつ変わっていきます。
まとめ
- バックオフィスはやり直しがきくので、AIの練習台に向く
- 議事録・下書き・FAQ・入力補助・要約の5つが着手しやすい
- 「入力情報の線引き・人の確認・利用ルール」を先に決める
- 1作業 × 1担当 × 2週間で試し、効果を測ってから広げる
ククルデザインでは、群馬県内の中小企業さま向けにAI・DX導入のご相談を承っています。「自社ならどの作業から始めればいいか」といった入口の段階でも歓迎です。お気軽にお問い合わせください。



