朝、パソコンを開いてから最初の15分が消える。カレンダーを見て、未読メールをざっと追って、昨日やり残した案件を思い出す。この段取りだけで頭が疲れて、肝心の仕事に入る前に一杯目のコーヒーが空になる。同じことを毎朝くり返している人は多いはずです。

この「朝イチの段取り」を1つにまとめて示してくれる機能が、9月上旬に米国で無料開放されました。Gemini の「Daily Brief」です。ただし日本ではまだ使えません。今日はそれを待たずに、すでに手元にある ChatGPT や Claude、カレンダー、メールを組み合わせて、近い「朝イチ・ブリーフ」を自分で作る方法を紹介します。

Gemini「Daily Brief」で起きたこと

サンセットオレンジ基調のイラスト。朝日が昇る空の下、予定表とメールとニュースの要素が1枚の要約カードにまとまり、海の向こうの片側だけでそのカードが画面に表示されている地理的な対比を描く。文字や数字は一切描かない。

Daily Brief は、Gemini アプリの中で、その日の予定・時間に紐づくタスク・次にやるべきことを1つにまとめて表示してくれる機能です。接続済みの Gmail や Googleカレンダー、Gemini とのチャットを基に自動で組み立てられ、通知や Gemini Live からも受け取れます。米国では9月上旬に無料ユーザーへも段階的に開放が進みました。

ただし現時点では米国・英語での提供に限られ、日本には来ていません。段階的なロールアウトなので、いつ日本語で使えるようになるかは分かりません。ここで待つ理由はありません。中身は「予定とメールとタスクを1つに束ねる」だけで、手持ちのツールでも近いことを取りにいけます。

手持ちのツールで「朝イチ・ブリーフ」を自作する

サンセットオレンジ基調のイラスト。散らばったカレンダーの予定・メールの束・案件メモの短冊が、手元のAIチャット窓を通って1枚の『今日やること』の紙にまとまっていく流れ。朝の光が差し込む机の上。文字や数字は一切描かない。

やることは1つです。始業時に「その日の予定・未処理メールの件名一覧・進行中の案件メモ」を AI に貼り、今日やる順に整理させる。専用の新機能はいりません。

Daily Brief との違いははっきりさせておきます。あちらは接続済みアプリから自動で材料を集め、使うほど個人に合わせて調整されていきます。こちらは自分で材料を選んで手で貼る方式で、自動収集や継続的な最適化までは同じになりません。それでも「朝の段取りを1枚に畳んで頭を軽くする」という目的なら、十分に近い成果が出ます。

固定プロンプトを1つ作る

毎朝ゼロから指示を書くと続きません。次のような固定文を1本だけ用意して、あとは中身を差し替えるだけにします。

あなたは私の秘書です。以下は今日の予定・未処理メールの件名・進行中の案件メモです。今日やる順に3行でまとめてください。対応が遅れているものは「フォロー漏れ」として指摘してください。判断に迷う点は勝手に決めず、最後に「確認すべきこと」として挙げてください。

【今日の予定】ここに貼る

【未処理メールの件名】ここに貼る

【進行中の案件メモ】ここに貼る

ポイントは最後の一文です。「判断に迷う点は勝手に決めず確認すべきこととして挙げる」を入れておかないと、AI は足りない情報をそれらしく埋めて、実際にはない締め切りや優先順位を作り出すことがあります。決めるのは人、という線をプロンプトの側に書き込んでおきます。

毎朝の回し方

この固定文を毎朝どこから呼び出すか。手軽なのは Gmail の下書きに雛形を1通置いておく方法です。朝はそれを開いてコピーし、AI に貼るだけ。手順にすると次の3つです。

  1. Gmail の下書きに上のプロンプト雛形を1通保存しておく
  2. 始業時に予定・メール件名・案件メモの3つを雛形に流し込み、AI に貼る
  3. 返ってきた3行とフォロー漏れの指摘を見て、その日の頭を決める

慣れれば貼り付けから返答まで数分です。朝の15分の段取りが、そのぶん実務に回せます。

貼る前と、AIが返した後に決めておくこと

サンセットオレンジ基調のイラスト。入口に機密情報を隠す目隠しゲート、出口に人が最終確認する承認印のゲート、その二つの関所をメールや予定の紙が通り抜けていく構図。文字や数字は一切描かない。

朝のメールや案件メモには、取引先名や顧客の個人情報が混じります。クラウドの AI にそのまま貼る前に、二つの関所を決めておきます。

  1. 入口: 取引先名・個人名・口座・金額など、社外に出せない情報は貼る前に落とすか仮名化する。社外秘そのものはクラウドに載せず、閉域で使える構成を別に検討する
  2. 出口: AI がまとめた3行や「フォロー漏れ」の指摘は下書き扱い。締め切りや相手への対応は、人が元のメールと予定を照らして最終判断する

作るのは AI、確定するのは人。この振り分けを先に決めておけば、朝の段取りを速くしても取りこぼしは増えません。

向くこと、まだできないこと

この自作ブリーフが効くのは、予定とメールと案件が毎朝ある程度たまる働き方です。1人で1週間試して、朝の立ち上がりが軽くなったと感じたら、固定プロンプトを部署で共有すればいい。逆に、その日ごとに前提がまるごと変わる仕事では、まとめの精度が落ちます。

AI が出すのはあくまで下書きです。予定の重複や、メール1通の温度感、この案件は今日中に電話したほうがいい、といった判断は人にしか付けられません。段取りの下ごしらえを AI に任せ、決める部分を自分の手元に残す。この分け方さえ守れば、新機能を待たなくても、今日の朝から効果を取りにいけます。

群馬の中小企業に AI 導入を支援していて感じるのは、最新機能の解禁を待つより、いま手元にある道具で先に1業務を軽くしたほうが速い、ということです。朝イチの段取りは、その入口にちょうどいい1業務です。まず自分の明日の朝で、試してみてください。